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アメリカ レンタルキャンピングカー(モーターホーム)の旅 体験記13

■ 5日め 体験記

モニュメントバレー → ブライスキャニオン(505.4km)

今日はフォレストガンプポイントから朝日を見る予定にしていました。ここはバレーの北東側に位置するので、朝日を受けて光り輝くビュートを眺めることができるはずです。公園内からはちょうどビュートの真後ろから太陽が昇ってくる形になり、完全に逆光になってしまうので、その向こう側まで行くことにしました。

日の出が7時頃の予定でしたので、5時半過ぎ、まだ真っ暗なうちから起床して、朝の準備を始めました。キャンプ場内はしんと静まりかえり、やはりこんな時間から動き出すのは私たちだけのようです。あまりに静かなので、エンジンをかけるのが申し訳ないくらいです。

それでも、グルーディングスロッジホテルからは真っ暗な中車が何台か出発してました。おそらく外国人観光客でしょう。6時過ぎにRV Parkをチェックアウトし、US-163に向かう直線道路に出てまっすぐ東のビュートの方を眺めると、真っ暗な空で東の地平線だけがうっすらとオレンジ色に光っており、それをバックにビュート群のシルエットだけが見えるという、何とも幻想的な光景を目にすることができました。

US-163を左折し、北に向かいます。フォレストガンプポイントまでは20分くらいだったでしょうか、走りすぎていく後方の景色をサイドミラーで確認しながら、「ここだ」という場所に、ついにたどり着くことができました。

JTBの店内に、ここからMonument Valleyを撮ったポスターがあり、これがどうしても欲しくて、知り合いに無理を言って送ってもらい、自宅のリビングにも貼ってしまいました。今回ここに来て同じ所から家族みんなの入った写真を撮りたいと思ってましたので、ポスターと同じ景色を目にした時はさすがに興奮してしまいました。

ここに着く前は、車を停めるスペースがあるか心配でしたが、坂道の途中にも頂上にもRV車もゆったり停めることのできる駐車スペースがいくつかあり、心配要りませんでした。アメリカ人は朝日はあまり見ないようなので、目の前を時折車が通るくらいで、他には誰もいません。こんな雄大な景色をこんなに静かな環境で見れるなんて、とても贅沢な空間です。

   

まもなく後方の丘の上から太陽が昇ってきました。ビュートにも陽が当たるようになり、周りの景色も刻々と変化しています。

バレーの方からヘッドライトをつけたキャンピングカーがこちらに近づいてくるシーンは、まるでCMのワンシーンのようです。

子供達は長男以外は当然寝てましたが、無理矢理起こして道路の真ん中に三脚を立てて、家族みんなで記念撮影を撮りました。それにしても素晴らしい眺めです。

みんなが起きたところで、朝食はピザトーストを焼いてこの景色を眺めながら食べました。今まで生きてきた中でも一番美味しい朝食ではなかったかと思います。ここは、朝日を見るには絶対のお勧めポイントです。

これから、ちょっと足を伸ばしてグースネック州立公園まで、あるいはもっと日程に余裕があれば、更に北上して、アーチーズ、キャニオンランズ、キャピトルリーフの各国立公園を廻って、ブライスキャニオンに行くというコースが理想だったのですが、今回は断念することにしました。

「いつの日かまた来れればばいいな」と思いながら、今来たUS-163を再び南下することにします。ここから先は日本に向かって車を走らせることになり、この旅も折り返し地点に来たのだなということを実感しました。今日はブライスキャニオンに沈む夕陽を見る予定ですので、それまでにそこまでたどり着かねばなりません。約500kmの移動距離になる予定です。早め早めに移動することを心がけました。

    

8時半頃フォレストガンプポイントを出発、所々ビューポイントに車を停めて写真を撮りながら、Kayentaに到着、ここで給油をして一気にPageの街を目指します。

US-160を約40kmほど戻り、標識に従ってAZ-98を右折、そこからは一本道で迷うことなくPageの街まで着くことができます。

Pageの街が近づくと、周囲がごつごつとした岩山の景色に変わり、前方に火力発電所の大きな3本の煙突が見えてきます。ここを通り過ぎるとすぐにアンテロープキャニオンの入り口があるはずなので少しスピードを落として見落とさないように走りました。

まもなくロウワーアンテロープキャニオン右折の標識がありここを右折、すると、すぐ左前方に車がたくさん停まってる駐車場が見えてきました。

  

思ったより多くの車が止まっており、ツアー出発まで少し待たされるかと思いましたが、5分後の10時には出発するとのこと、人が集まり次第次々に出発するようです。

大人一人20ドル、712歳が一人12ドル、それとは別にナバホ居留区への入場料として一人さらに6ドルの料金がいるとのことで、トータル88ドルの出費となりました。

ちなみにKayentaPageでは1時間の時差があるので、時計を1時間戻す必要があります。Kayentaを出たのが9時過ぎだったので、そこからここまで1時間40分くらいで着いた計算になり、少し飛ばしはしましたが予定よりも早い到着です。

アンテロープキャニオンは本当は正午前後のツアーが太陽光の加減で一番いいようですが、ロウワーは渓谷が東西に広がってるので、アッパーに比べると時間の影響を受けにくいとのことでしたので、(先にホースシューベンドに行くことも考えましたが)この時間のツアーに参加することにしました。総勢10人くらいだったと思います。 

    

ガイドブックで見た通り狭い入り口を地下に潜り込むようにして、キャニオンの中に入っていきます。2歳の小さな子がいましたので初めはどうかと思いましたが、キャリアで背中にからってれば、なんてことありません。5歳の三男もお兄ちゃん達について軽々と先へ進んでいきます。

ただ少なくともしっかりした運動靴は必要です。大人はトレッキングシューズを持ってきてたので、滑りやすい所もしっかり歩くことができました。

正午に近ければもっと良かったのかもしれませんが、それでも予想に違わず息をのむような光景で、十分楽しめました。光が当たらなければ、ただの茶色の岩なのですが、ひとたび光が当たると何とも表現しがたいようなオレンジ色の岩に変身します。

それも光がいろんな方向から当たるので、不思議なコントラストを描き出しています。私はあまりうまく撮れませんでしたけど、写真家にとっては確かにたまらない空間でしょうね。

途中でナバホの若いお兄さん(背中に日本語で「将軍」と書かれたTシャツを着てました)がギターを持って歌を歌っていました。約40分の探検を終え、地上に出るとそこはやはり砂漠のど真ん中です。

地面の下にこんな世界があるものかと、何より鉄砲水の濁流がこの幻想的な光景を作り出しているというのが、信じられないような感覚でした。外の日差しは非常に強いですが、暑くてたまらないという感じはありません。空気が乾燥しているからでしょうか、旅の途中から指先の爪と皮膚の間が裂けてきて、殆どの指に絆創膏を貼るはめになりました。

 

緩やかな坂道を10分くらい登って、元来た場所に戻り、今度は、ホースシューベンドに移動です。AZ-98に出てすぐ左側にはアッパーアンテロープキャニオンの駐車場も見えました。ホースシューベンドまでは車で10分くらい、すぐ近くです。

ここも標識があり、右折レーンもあるので迷うことはありませんでした。駐車場はそう広くはありませんが、RV車でも十分なスペースがありました。

アンテロープキャニオンでもそうでしたが、ここも思ったよりたくさんの車が停まっており、観光客も混み合うほどではありませんが、結構にぎわってます。日本人も多く来ているようで、アンテロープキャニオン同様、日本語があちこちから聞こえてきました。

車を降りて、砂漠の中を歩き出しました。こんな青い空は決して日本では見れないなというくらい、乾いた青空が地平線まで続いています。ここは飛行機の通過地点なのでしょうか、空には必ずと言っていいほど飛行機が飛んでいて、飛行機雲が見えます。多い時には一度に10機近い飛行機を見ることができました。

9月のこの時期のグランドサークルは思ったほど暑くなく、むしろ朝夕は寒いくらいです。気温も日中30℃を超えることは殆どなく、ちょうどいい快適な気候でした。一番暑かったのはロサンゼルスで、気温も湿度も日本の気候に近いものがありました。

丘の上まで登ると前方に大地の亀裂が見え、そこがコロラド川であろうことがわかります。歩き出して20分ほどでOverlook Pointに到着しましたが、ここも予想を遙かに超えるスケールで、絶景が目の前に現れました。

この川の下流にグランドキャニオンがあるということを考えるとうなずけますが、赤い大地がものすごい深さで削り取られ、その最深部を緑色の水がゆっくりと流れてます。何故こんなところで360度カーブをしてるんだろうという疑問もナンセンスですね。

自然が作り出す景観というものは、人間の考えるスケールを遙かに超えています。ただただ圧倒されるばかりでした。断崖の向こうに果てしなく広がる赤茶けた大地もまた、印象に残りました。

広大な乾いた砂漠の一部には青いレイクパウエルも見えます。このホースシューベンドは、東側から眺めることになるので、光が正面からきれいに当たる午前中に訪れることをお勧めします。往復約1時間、素晴らしいトレッキングでした。

   

ちょうどお昼の時間になりましたので、ここで昼食を摂ることにしました。いつものように、質素な昼食で、おにぎりを握って食べました。観光に忙しい分、食事はどうしても簡単なものになってしまいますが、それでも、こういうところでは何を食べても美味しいですね。

これから、ブライスキャニオンまで再び長距離移動です。US-89を北上すると、すぐにグレンキャニオンと書かれた大きな看板があります。

 

ここに車を停めて写真を撮っていると、普通のレンタカーで旅行をしている40歳前後の日本人の方と会いました。私たちの乗ってる大きなキャンピングカーを見てとてもびっくりされ、どうやったら借りれるのか、いくらぐらいするのか、免許はどうなのかなど、とても興味を持たれたようした。

さすがに散らかってたので中まで見せることはできませんでしたが、トラベルデポの名前を教えたら、日本に帰ったらすぐに調べてみるとのことでした。

確かにアメリカを旅行するにあたってレンタカーはまず第一に考えますけど、キャンピングカーまでは思いつかないですよね。だって日本人が普通免許でこんな車を運転できるなんて誰も知らないでしょう。

日本に帰ってきて周りの人に写真を見せると、「そんな大きな車、日本の普通免許で運転できるのか」と必ず聞かれます。でもこちらに来てみると、当たり前のようにキャンピングカーが走ってて、対向車で観光バスが来たと思ったらそれはたいていキャンピングカーで、しかもその後ろに乗用車を連結し、さらにその後ろに自転車を数台くくりつけて走ってる光景を何度も目にします。

RV Parkが充実し、キャンピングカーで何不自由なく旅行できる環境があるということを、私たち日本人は知らないので仕方のないことですが、こういう選択肢もあるということを、もっと知ってもらえるといいですよね。確かにどこに行ってもキャンピングカーで旅行している日本人に会うことはありませんでした。

コロラド川を渡ったところにビジターセンターがあり、目の前にグレンキャニオンダムがあります。ここにちょっとだけ車を停めて、中には入らず外からパウエル湖やダムを見学しました。

本当は、ワーウィープマリーナまで行きたかったのですが、これからの移動を考えてここはパスすることにしました。残念ながら、ダムの上からはマリーナは遠くにしか見えなかったので、ここが一大リゾート地ということを実感するところまではいきませんでした。

  

ここを出発すると、US-98をひたすら西へ向かいます。この一帯はバーミリオンクリフス国定公園と呼ばれる観光地だそうですが、入園には許可証がいるそうです。せめてパライアリムロックだけでもと思ってましたが、周りの普通車がかなり飛ばしてるので、その流れに乗って走ってると、何かあっても急には止まれません。

しばらくは右に大きな赤い山並みを見ながら走ります。1時間くらい景色が全く変わらず退屈でした。久しぶりに街らしい街Kanabを過ぎるとUS-98は北へ向きを変え、ここからは景色が一変し、緑の森の中を走ります。

  

これから先はアップダウンを繰り返しながら、少しずつ高度を上げていくようです。

ザイオンへ向かう分岐点Mt. Carmel junctionを過ぎると、小さな街がいくつも現れ、そのたびに制限速度が変わります。街の入り口にはスピード違反取り締まりをしてるパトロールカーもいました。

美しい小さな小川をずっと右に見ながらさらに北上、この辺りは少しずつ紅葉も始まり、日本に近い風景です。高度もかなり上がってきてるようで、窓を開けると少し肌寒いくらいです。Hatchという小さな街を過ぎてしばらくすると、UT-12が右に分岐するので、これを右折、すると目の前に忽然と真っ赤な色をした岩山が広がってきました。これがレッドキャニオンのようです。

規模はとても小さいですが、これから見るブライスキャニオンと岩の形がそっくりで、これも年月がたち浸食が進むと、雄大な景色に変わっていくのでしょう。駐車スペースに車を停めて一休みしました。空の青と、木々の緑と、岩山の赤とのコントラストが素晴らしいです。

    

岩山のトンネルを抜け、草原の中を進むと、ブライスキャニオン国立公園の入り口があります。

このUT-63を標識に従って右折し、しばらく走るとRuby’s Innという大きなモーテルが右側にあり、その少し先に本日宿泊予定のRV Parkがありました。ともに大きな看板があり見落とす心配はありません。

Pageを出発してここまで3時間弱の道のりでした。とはいっても、時差の関係で時計を1時間進めなければならないので、時刻はすでに17時前です。陽も少し西に傾き、吹いてくる風に肌寒さを感じました。ここはもう秋まっただ中といった感じで、今までの砂漠の気候とはちょっと違います。

    

オフィスに入り、予約を確認するとともに、今日の日の入り、明日の日の出の時刻をチェックしました。

明日の朝の予想最低気温は氷点下、標高が2500m以上と高く、覚悟はしてましたが、予想以上でした。今日の夕陽はインスピレーションポイントから見る予定にしてました。キャンピングカーで行って、暗くなって帰ってきていろいろするのは面倒くさいと思い、シャトルバスを利用しようと思ってましたが、バスは朝9時から夕方6時までとのこと、今日の日の入りが19時半の予定なので、結局自分の車で行かなくてはならなくなりました。

とりあえず2日間できなかった洗濯をまずすることにしました。オフィスと同じ建物の中に、きれいなランドリーとシャワールームがあります。洗濯機は二つ使わせてもらいました。このRV Parkは広大な緑の中にあり、とてもきれいで、隣のサイトとの距離も十分にあり広々としています。

すぐ近くにレストラン、ジェネラルストアもあり、今回の宿泊地の中では、個人的には一番のParkでした。洗濯をしてる間に散歩をしたり、今日の夕食の準備をしたりしてのんびりと過ごしました。

   

18時半頃、今日の夕陽を見るためにインスピレーションポイントに向けて出発しました。国立公園の入り口で、グランドキャニオンで購入したAnnual Passを見せ入園します。公園内のRV Parkは全て満車とのことで、どこに宿泊するのか確認されました。

Ruby’s InnRV Parkも満車のようでしたので、予約をしてて良かったと思いました。途中National Parkの大きな看板がありましたので、そこでみんなで記念写真も撮りました。野生の鹿がうろうろしていて、あちこちで写真を撮るために停車してる車があり、小さな渋滞ができてました。

インスピレーションポイントへの入り口を間違えてUターンしなければならなくなりましたが、ステアリングが軽く、すえぎり(本当は良くありませんが)が簡単にできることがわかり、ちょっとしたスペースがあれば難なく方向転換もできるようになりました。駐車場にはRV車専用のスペースもあり、ここからちょっと歩くと、展望台があります。

ここまではBryce Canyonに来ているという感覚は全くなく、普通の森の中なのですが、ここから突然視界が大きく開け、フードゥー群が目の前に飛び込んできます。背後には静かな森林が広がっているのに、突然その森が中断し、浸食され、そこから先に無数のフードゥーが立ち並んでる姿は、何とも不思議な光景です。

グランドキャニオンでも同じように、緑の森が突然削り取られていました。その原因はコロラド川の浸食だったのですが、ここは何故でしょう?雨水によるものでしょうか、そうだとすると、この光景はこれから長い年月をかけて少しずつ西の方に広がっていくのでしょうか。自然の営みのスパンがあまりに長く、想像すらできません。

すでに日がかなりかげりフードゥーの半分は日陰の中にありましたが、オレンジ色に光る尖塔群は今日も夕陽を見に来て良かったと思わせる瞬間です。ピンク色の飛行機雲をたなびかせた飛行機が何機も空を飛んでました。やがて日が沈み、風も冷たく感じられるようになってきました。車に乗り、再びキャンプ場まで戻ります。

   

フックアップ作業を済ませてから、まずはシャワーを浴びに行きました。ここのレストルームもCode Numberを入力して入るシステムでした。中は広く清潔で、安心して使えました。車からレストルームまで少し距離があり、肌寒かったですが、星がとてもきれいです。

ここは標高が高く空気も澄んでいるので、全米でも星の美しい場所として知られてるようです。その噂に違わないような満天の星空でした。こちらに来て初めてBarstowの星空を見た時も感動しましたが、それをはるかに上回る星の数です。特に今回の旅を通じて、月が新月同然で殆ど出なかったので、星の美しさは毎晩格別でした。糸のように細い今日の三日月もとっくに西の空に沈んでいます。

今日も21時過ぎの遅い夕食です。今日は初日に買ったステーキを焼きました。安いのはいいのですが、日本のと違って筋が多く硬いのが難点ですが、それもアメリカらしくて、私は気に入ってます(子供達には不評でしたが)。美味しく頂きました。

外に温度計を置いてたのですが、外気温はすでに0℃を指してます。今日は暖房を入れて寝ることにしました。明日も早起きをして、ブライスポイントから朝日を見る予定です。

★ ブライスキャニオン Ruby's Inn - RV Park & Campground

(ブライスキャニオンNo.1リゾート Ruby's Innが経営するRVパークです!))

http://www.brycecanyoncampgrounds.com/

 

   
 

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